睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
睡眠中の無呼吸による血液中の酸素濃度低下、心臓・血管の負担増加などにより、高血圧症や心筋梗塞・脳梗塞などを合併するリスクが高くなります。また、日中の強い眠気がミス・事故などを招くこともあります。
単なる「いびきをかく病気」ではなく、健康やQOL、時には命を脅かす病気であるため、早期発見・早期治療が大切になります。
当院では、睡眠時無呼吸症候群の診断・治療を行っております。
いびきと睡眠時無呼吸症候群の関係とは
いびきが発生する原因
睡眠時無呼吸症候群もいびきも、上気道の狭窄を主な原因として起こるためです。いびきは、睡眠時無呼吸症候群の重要なサインとなります。
上気道が狭窄する理由としては以下が挙げられます。
- 肥満により首回りの脂肪が厚い
- 鼻炎・副鼻腔炎による粘膜の腫れ
- 舌が厚い
- 顎が小さい、後方に位置している
- 扁桃肥大、アデノイド肥大
- 鼻中隔湾曲症
睡眠時無呼吸症候群の主な症状
睡眠時無呼吸症候群の症状は、睡眠中だけでなく、起床時や日中にも出現し、QOLを低下させたり、ミス・事故の原因にもなります。
睡眠中の症状
- いびき
- 無呼吸、低呼吸
- 寝汗
- 何度も目が覚める
起床時の症状
- 熟睡感がない
- 口の渇き
- 頭痛
- なかなか身体を起こせない
日中の症状
- ケアレスミスの増加
- 強い眠気(会議中の居眠り、重大な交通事故につながることも)
- 倦怠感
- 集中力の低下
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断基準
検査により、1時間あたりに無呼吸・低呼吸を合わせた回数を意味する「無呼吸低呼吸指数(AHI)」が5以上であることが確認され、いびき・起床時の頭痛・日中の眠気などの症状を伴う場合に睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
なお検査には簡易検査と精密検査があります。簡易検査で診断に至らない場合に、精密検査が必要になります。
睡眠時無呼吸症候群の治療
CPAP(シーパップ) 経鼻的持続陽圧呼吸療法
簡易検査でAHI 40以上であった方、あるいは精密検査で適応になると判断された方は、保険診療で受けられます。月に1回の定期的な受診も必要になります。
マウスピース(スリープスプリント)
特殊な構造をしたマウスピースを作製し、装着することで、下顎を前方に位置させ、気道が狭くなるのを防ぎます。
体重の調整
当院には、管理栄養士が在籍しています。栄養バランスを考慮しながら、無理のない食事療法を提案することができます。
体位療法
抱き枕を使ったり、枕の高さを調整することで、少しずつ慣らしていきます。
放っておくと怖い病気を引き起こす事も…
睡眠時無呼吸症候群を放置していると、健康への悪影響を招く以下のような疾患を合併するリスクが高くなります。
高血圧症
睡眠時無呼吸症候群の代表的な合併症です。
繰り返しの無呼吸に伴い、交感神経が亢進し高血圧症を招くことがあります。
睡眠時無呼吸症候群を治療することで、降圧効果が期待できます。
心不全
無呼吸による血液中の酸素不足、心臓の負担増加、交感神経の亢進によって、心不全のリスクが高くなります。
慢性心不全になると、呼吸中枢の反応が低下することから、さらに無呼吸が起こりやすくなるという悪循環に陥ります。
なお、心不全とは、心臓のポンプ機能が低下した状態を指します。不整脈、狭心症・心筋梗塞、脳梗塞などのリスクが高くなった状態と言えます。
睡眠時無呼吸症候群の有効な睡眠法
以下のような方法で睡眠の質を上げ、睡眠中の無呼吸が起こりにくくすることが可能です。
- 仰向き寝ではなく、横向き寝をして、気道の狭窄を防ぎましょう。
- 生活リズムを整え、毎日決まった時間に布団に入るようにしましょう。
- 日中は活発に動き、夕方以降はリラックスして過ごすことで、交感神経を休めましょう。
- アルコールは入眠を助けますが、睡眠を浅くします。飲酒は適度とし、特に寝酒は控えましょう。
- 普段から鼻呼吸を意識しましょう。治らない方は、睡眠中のマウステープ(口閉じテープ)の使用をおすすめします。