傷が治りにくいのは
糖尿病かも!?
包丁で指を切ってしまった、裸足で硬いものを踏んで血が出てしまった、転倒して膝をすりむいてしまった、ということは、日常生活の中で誰にでも起こりうるケガですね。小さなケガであれば、比較的すぐに血が止まり、傷も治っていきます。
しかし、傷の治りが遅いと感じたときには、糖尿病などの疾患を疑う必要がございます。
糖尿病だと
なぜ傷が治りにくいの?
糖尿病の方の傷の治りが遅いのは、慢性的な高血糖による血流障害、神経障害、免疫機能の低下が主な原因になっています。
血流障害
高血糖が続くと、血管がもろく硬くなる「動脈硬化」が進行します。血流も悪くなるため、酸素・栄養が十分に行き届かず、傷の治りが遅くなります。
神経障害
高血糖状態が続くと、神経細胞が正常に機能しなくなり、「傷に気づけない(痛みを感じにくい)」ということが起こります。これにより、傷を消毒したり、保護したりといった対応の遅れ、傷口が開くなどして、治るのに時間がかかります。
免疫機能の低下
高血糖状態が続くと、免疫機能が低下します。ささいな傷からでも簡単に感染してしまい、炎症を起こすなどして、治るまでに時間がかかります。
糖尿病の方が傷を
作らないための注意点
すでに糖尿病の診断を受けている方は、感染を防止するために「傷を作らない」ことに注意する必要がございます。
- 室内でも裸足で歩かない
- 足の大きさや形に合った靴を履く
- 爪を正しく切る、深爪をしない
- 暖房器具やカイロ、電気毛布などによる火傷に気をつける
また、もし傷を負ってしまったときにもすぐに気づけるように、薄い色の靴下を履く、毎日手や足に傷がないかを確認するといったことも大切です。特に足裏は、ケガをする頻度が高く、また通常は目にすることがないため、1日に1回は座って足を持ち上げるなどして、入念にチェックしましょう。
糖尿病以外で傷が
治りにくくなる
原因・病気
傷が治りにくくなる原因として、糖尿病以外の因子をご紹介します。
ストレス
身体的・精神的ストレスは、活性酸素を発生させ、傷の治りを遅らせます。「病は気から」と言いますが、実際にストレスなく明るく過ごすことで、早期回復が期待できます。
加齢にともなう
皮膚再生能力の低下
皮膚の再生能力は、加齢とともに少しずつ低下してしまいます。
そのため、年齢を重ねることで、若い頃よりも傷の治りが遅くなります。
栄養不足
栄養をしっかり摂ることは、病気やケガからの早期回復において欠かせません。
特に、タンパク質や鉄分、ビタミンAを含む食品を意識的に摂取しましょう。
特徴 | 多く含む食品 | |
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タンパク質 | 皮膚組織をつくる材料になります。 |
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鉄分 | 血液中で、傷の修復に欠かせない酸素を運んでくれます。 |
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ビタミンA | 傷口の粘膜を強化してくれます。 |
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肝臓の疾患
肝臓疾患によって肝臓の機能が低下すると、血液中の血液凝固因子が減少します。傷口からの出血が止まりにくくなるため、なかなかかさぶたにもならず、治りが遅くなるのです。